「オブリヴィオン」を読んでバンドネオンを知った

今回は昔に読んで印象深かった本から影響された事柄を感想を交えつつ書いて行こうと思う。

主人公の吉川森二が刑務所から出所してきたところから物語は始まる。
森二には子供の頃からボートレースの結果を当てる事ができるという能力があった。
息子の能力のせいで父親がギャンブルに狂ってしまう。
こういった家庭環境から大人になった森二の兄はヤクザになってしまうし、森二本人も決していい人生を過ごしてはいなかった。
そんな自分を救ってくれたとある兄妹との出会い。
森二はその妹を妻にして幸せな時を過ごしていたが誤解などが重なり妻を殺してしまう。出所してからも森二は「自分など幸せになんてなってはならない」とでもいうように後悔にもがきながら日々生活していた。

ちょっと古い記憶なので多少違う所があったならば申し訳なく思う。

妻を殺すなんて、どんな間違いがあったのだろうと読み進めるのだけど終わりの方は整合性を持たせるには仕方ない展開にしたのかなと思ったのを覚えている。しかし悲しくも人の温かみもあり読み応えのある内容だった。

「内容だった」といいつつ読んでから何年も経つと細かい部分は思い出せない。展開にちょっと首をかしげてしまったことや大まかな内容しか覚えていないし、忘れている部分も多い。そんななか特に覚えていたことを書いていく。

主人公が出所後に生活していた部屋の隣人に沙羅という女性が出て来る。
主人公にとって重要な人物になっていく沙羅はバンドネオン奏者だった。
バンドネオンとはアコーディオンを少し小さくした感じのもので、鍵盤部分がボタン式になっているようだ。
それで奏でるのがタイトルである「オブリヴィオン」という曲で、意味は「忘却・恩赦・赦し」。小説を読んでいて気になったので曲を聴いてみたら、寂しげだけど綺麗ないい曲だった。

それから森二と妻が茅の輪をくぐるシーンがある。茅の輪という存在は知っていたし前々から気になっていたので更に興味を惹かれ、いつか私もやってみたいと常々思っていた。
6月に散歩で神社まで行ってみたら時期的に茅の輪があったので”茅の輪くぐり”を実行できた。

tekuyunn.hatenablog.com

 

話全体というよりも、こういった少しの要素でいつまでも心に残る作品というのが幾つかある。自分の興味関心がリンクしたときは特に印象深い本として残るように感じた。
古い記憶だからこそ数年たっても思い返せるのは読んだことは無駄じゃなかったと思えるので嬉しい。
むさぼるように読んで頭の中を流れていく沢山の本たちの一部が琴線に触れることもあるので読書はやめられない。