本の感想を簡単に書き記す

去年の末から3月の現在までで読んでいる本が25冊になった。
順不同だけど少しだけ整理のつもりで感想を書き残しておこう。

「殺人出産」「消滅世界」「私の食べた本」
著:村田沙耶香

村田さん作品は「ギンイロノウタ」と「コンビニ人間」を昔読んだ記憶がある。
「ギンイロノウタ」には少し性描写があって、それがあまり受け付けなかったのは覚えているけど「コンビニ人間」の方は特に抵抗を感じなかったかな。

とある単行本の最後のページに載っている本紹介。
それを機に読んでみた「殺人出産」と「消滅世界」。
なかなかに抵抗を感じる話だった。性描写しかり、内容しかり。
「殺人出産」では10人出産すれば誰でも一人殺していいなんて法律が出てくる。そんな法律が本当にあったら怖いったらない。もうちょっと選ぶ人を限定的にしてくれないと、何もしてないのに殺される人は青天の霹靂って感じだ。
ただ男性が人工子宮をつけて出産できるのは凄い技術だと思う。これは実際にあったらいいなと思った。

「消滅世界」も「殺人出産」と世界観が似ていた気がするけど少しましだったかな。こちらも短編で全体的に性的な描写が多いのだけど。

こういった作品を書く著者はどんな人なのだろうと興味本位で読んでみたエッセイ本「私が食べた本」は良かった。村田さんは小学生の頃から小説を書いているという。詳しく読んでいくと「生まれついての小説家なのだな」と思えてしまう。
性に対しても一般とは違う感覚があるように思う。多少は誰にでもあるかもしれない恥ずかしいとか汚いとかいう感覚を投げ捨て受け入れて、その感覚が突き抜けた時には彼女の小説をもっと楽しめるのかもしれない。
他にも本に対しての思いなどが非常に伝わってきたエッセイだった。


騎士団長殺し(再読) 
著:村上春樹

だいぶ昔に著者の作品のセリフ回しをからかったようなバラエティ番組を見たことがあって変なイメージが植え付けられていたせいか食わず嫌いみたいな感じで今まで村上さんの本を読んだ事がなかった。

騎士団長殺し」が出版されてタイトルから手に取ってみたら面白くてお気に入りの一冊になった。

最初に読んでしばらくたった頃、本好きの女優さんも「面白い!」と絶賛していたのでなんか嬉しかった。

登場人物である騎士団長の言葉使いが頭から離れなかったので再読したのだけど、やはり面白かった。

話は少しずつ主人公に非現実的な事が起こっていく。現実には起こりえない物事でも実際にありそうな感覚に陥るのはなぜだろう。

騎士団長もインパクトの強いキャラだったけれど、他にも印象的な人物が主人公の家の近くに住む免色(メンシキ)さん。礼儀正しくスマートなのに少し怖さを感じる魅力的で不思議な男性。

今回の再読を機に1Q84も読んだ。こちらも結構好きだ。

花の降る午後
  著:宮本輝

この本は母のお気に入りだ。例の女優さんが若い時にこの本を読んでいるとテレビで言っていたらしい(母の記憶が確かならば)。母は「まだ若いのに大人っぽい本を読む」と感心していたし、嬉しそうだった。

母いわく、男女の恋愛ものであり刺激が強いとかなんとか言っていたような。
なので私も読んでみたのだけど、刺激なんて全然強くなかったよ。村田さんや村上さんに比べれば・・・。
恋愛以外にも主人公が経営するレストランを狙われたりとハラハラする場面も多く楽しく読めた。

この単行本の解説は同じく小説家の高樹のぶ子さん。普段思ってる事を的確に言い表してくれている文章がいい。

哲学書や人生論が、カプセルに包まれたビタミン剤であるなら、小説は甘くも酸っぱくもあるイチゴやミカンである。そこにあれば次々に手を出して口に入れたくなるものだ。

解説より引用

(花の降る午後 著:宮本輝 解説:高樹のぶ子

最近は本の感想を書くことを考えると読むのが進まない。
文章を書くのは結構、頭を使うからかな。鬱になると料理が作れなくなるみたいのをよく聞く。その感覚に似ているかもしれない。今は読むだけ読んで気がむいた時に、こんな感じで簡単に思ったことを書こうかと思う。あらすじとかもすっ飛ばし簡単に記録して行こう。