イヤミスも嫌いじゃない

読みたい小説が思い浮かばなくなっていた時、ふと湊かなえさんの小説を読んでみようと思った。とても有名な方なのに読んだことはなかった。

先にテレビで放送されていた映画で『白ゆき姫殺人事件』や『告白』などを色々見てしまっていたので小説を遠ざけていたような気がする。イメージをある程度、勝手に想像していたから。

今回選んだのは「サファイア」という7話構成の短編小説。

湊かなえさんの本を探していてこのタイトルをみつけた時に、好きだったアニメ「宝石商リチャード氏の謎鑑定」のピンクサファイアが出て来る話を思い出して、サファイアつながりでタイトルに惹かれて選んだ。

どっちかというと、しっかりと書き込まれた長編小説が好みなので、あまり短編は選ばないのだけど「サファイア」は面白かった。

私は基本的に、ハッピーエンドや希望を持たせる結末のものが好きだけど、読んだ後に嫌な気分になるイヤミスといわれるものも嫌いじゃない。
でも今回の短編では、どちらも楽しめた。

全体的にミステリー要素の話だけど、”ダイヤモンド”という話では、スズメの恩返しというファンタジーっぽい内容もあった。

イヤミスで終わる”サファイア”という話が”ガーネット”という話と巧妙につながっていて、そんな風に話を持っていけるのかと感心。

"ムーンストーン"という話も好き。ムーンストーンは大好きな石なんだけど、それがタイトルの話がイヤな感じで終わったら、どうしようと思っていた。イヤミスが嫌いじゃないとか言っておきながら・・・。でも感動的な友情の話で安心してしまった。

この小説を読むと、イヤミスで終わった話にも、さらにその先があって作り手や読み手次第ではどのようにでも変えられるということを教えられた気がした。もちろんイヤミスの読後感をそのまま味わってもいいのだけど。

ちなみにアニメ「宝石商リチャード氏の謎鑑定」は第1話の"ピンクサファイアの正義"というタイトル。

サファイアは知ってるけど詳しくなかったので、パパラチアサファイアというのがあるのを初めて知った。
パパラチアとはスリランカでは蓮の花という意味があり、パパラチアサファイアはピンクサファイアよりもオレンジがかった色をしているらしい。
ミネラルフェアとか行けば見れるのかな。希少だからないかな。見てみたいなー。そんなこんなで、アニメも面白いのでおすすめです。